モノ謂えぬ彼らに思う

一度目の地震の時、私は自宅にいました。
引越後すぐに始まった防音工事の為に留守番をしながら、ちょいちょいテレビを見てお茶を飲んで、ちょこちょこと荷物のかたづけをしたりしてました。
我が家の荷物の大半は楽器と音響機材です。なので、防音室が完成しないとリビングの家具もまともに置けません。地震がくる前から、脚の踏み場のない状態でした。

揺れが来てすぐに停電して、おろおろしているココアを抱いて一階に降りると、一階の防音工事をしていた大工さんもおろおろしてました。
大工さんが「新築だから家の中の方が安心だ」とおっしゃるので、玄関をあけて中にいました。

外を見たら、なぜか必死で電信柱にしがみついているオジさんとか、ベビーカーを押さえながらマイムマイムのような足どりになっているお母さんとか、みんなが軽くパニックになっている様子が見えました。

揺れがおさまり、事態を理解出来ないココアが私の腕の中でもぞもぞと暴れ始めました。落ち着かせる為に家の周りをぐるっと一回り、散歩させました。

歩いている時にまた、大きな揺れが来ました。

家に戻って停電を再確認し、二階のベランダの窓を開け、、、
振り返ってココアを見たら、右の後ろ脚を引きずっていました。

二回目の揺れの時にビックリして麻痺してしまったのか、それとも私が誤って彼の脚を踏んでしまったのか。
脚はピーンと伸びて、曲がる気配がない。

また余震が来るかもしれないし、情報も得ないといけないと思い、とりあえずココアと一緒に車に乗りエンジンをかけ、カーナビのTVをつけました。
ニュースでは震源が三陸沖と言ってるし、岩手の実家は心配だし、近所は知らない人ばかりだし、大工さんはマイペースに自分の車に籠ってニュース聞いてるし。
知らない人だらけの中の一人と一匹は、プルプルしながら車の中にいました。

一時間経ってもココアの脚は伸びたままで、本人(本犬?)も様子がおかしいのがモドカシイのか元気なく吠えていました。

このままはやっぱり良くないと思い、町の機能が停止している中、獣医さんを捜す事にしました。

周囲に人は沢山出ていたのですが、見渡してもペットを抱えている人は見当たらない。
この地域は準工業地域になっているので、一般住宅と工場が入り混じって建っているのです。沢山出ている人のほとんどは、工場の人々でした。

「この近くの獣医さんをご存じないですか?」と聞きながら、てくてく、てくてく、てくてく、、、、

やっと見つけた獣医さんについた時は5時位になっていました。
当然と言えば当然、獣医さんは休診中になってましたが、快く診て下さいました。
しかし停電でレントゲンが撮れるわけでもなく、触診だけでの判断はムズカシく「ヘルニアの可能性アリ」という曖昧な診断しか出せず、炎症を抑える注射を打つのが精一杯でした。

新宿にあるヘルニア手術の専門医を紹介されて、帰宅しました。

旦那さんは見事に帰宅難民となり、4時間半歩いて明け方に帰ってきました。

日曜日、新宿の専門医のところに行きました。
軽く触診しただけでヘルニアですねと言われ、「手術費用は約50万円、内金で20万円、今日明日にでも手術した方が良い」とのたまわれました。

この非常時に50万円の出費とかありえません。途方に暮れてしまいました。

冷静になってもう一件、前のウチの近くにある、もともとのかかりつけの獣医さんに行ってみる事にしました。
そこは友人が紹介してくれた獣医さんで、ココアを飼いはじめた当初からお世話になっている獣医さんです。

そこでやっとレントゲンとX線を撮ってもらい、「前立腺肥大と、左右後脚の太さの違いからおきた麻痺」と診断されました。投薬とレーザー治療で様子を見ながらリハビリをすれば回復するだろうと言われました。。。


今回の地震で、逃げ遅れて亡くなられたのは人ばかりではないはずです。
ニュースには載りませんが、たくさんのペットや家畜がいたはずです。



今朝、ココアの脚は少しだけ、動けるようになっていました。

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