感受性の行きつく先

一年前、思い立ってサックスを習い始めた。
サックスという楽器の扱いは、声を扱うのととても似ている。
吹き込む呼気量の違いや、管の角度の違いで、全然音が変わってくる。
サックスの音をコントロールしようと練習すればするほど、歌がどんどん上手くなっていく気がする。
『サックスが』ではない。
微妙な呼気のコントロール、表情筋の使い方、首の角度、空間の扱い方。サックスを吹きながら発見した事が、そのまま歌声に反映していく。

2年前、ナレーションと演技の勉強を始めた。
言語のアクセント、イントネーション、滑舌、心の表現など、発見する事がたくさんあって、やはり、歌がどんどんうまくなっていく気がした。
『ナレーションや演技が』ではない。
それまで、メロディーの音形に惑わされ言葉の表現に鈍感だった歌が、立てたい言葉、アクセントの位置、子音・母音の扱い方などを意識するようになった。

そして最近、朗読の勉強を始めた。
何よりもまず読解力。すぐれた文章には、より深い読解力が必要となる。より豊かな表現をしたいと思ったら、それ以上の読解が必要となる。
そして、かかりうけの表現。「これ」「それ」が何をさしているのか、その方向、形状、事象を的確に表わさなくてはならない。
『そこに雲がある』と読む時、そこがさす方向、距離、そのときの風の感触や温度、雲の形、そしてそこに雲があるから嬉しいのか・悲しいのか・悔しいのか・楽しいのか、それらを声のみで伝えなくてはならない。
『あなたが好き』と歌う時、その声だけで、『あなた』をどれくらい好きなのか、『あなた』のどんなところが好きなのか、楽しい恋なのか、切ない恋なのか、『あなた』がどんな人なのか、そういう事が伝えられたらすばらしい。それこそ、音声表現の醍醐味だと思う。

私にとって『歌うことは生きること』である。
めいっぱいアンテナを拡げて、何足もわらじを履いて、遠回りしているように見える時もあるが、結局、私の感受性の行きつく先には、歌がある。


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