アンテナ

ある日突然、「あなたの視力は、これ以上矯正できない。」
と宣告されました。

2002年の秋。

その時の私の視力は頑張って矯正しても、両目共に0.01以下。

今ではかなり一般的になったレーシック手術は、私の疾患には適応しませんでした。

車の運転も出来ないし、映画の字幕も見えない。本を読んだら顔と誌面の距離は2センチ位。
駅の階段は踏み外すし、道路横断途中で中央分離帯に躓き、発車寸前のバスの前に転がり出る。

毎日の生活を安全に過ごす事が、とても大変でした。

あ、電柱にぶつかるのは日常茶飯事でしたね。
あと、包丁で切るのは食材より指の確率が高かった。f^_^;

そして、視力が悪い環境を受け入れる事が自分の運命なのだと思っていました。

もう一度視力が回復して映画を見たり本を読んだりしたい、と願う事は私にとってはおこがましい望みなのだと、思っていました。

ちょうど音楽の仕事をもらえるようになってきた時期でもありました。

でも、曲を楽譜で貰っても見えないのです。
歌詞を見ながら歌う、とかもムリ。

おかげで、聴く力が発達しました。

今朝、聴力がどんどん失われてゆく、という夢を見ました。まるで以前の視力の様に。

夢の中で、今聴こえる音を精一杯、身体に記憶させようと足掻いていました。

起きた時には心底ホッとしたのですが、これは、最近の私の怠惰に対する警告なのかなと思いました。

03月と04年の夏に片眼づつ、角膜移植の手術を受けて、今は矯正すれば1.0位は見えます。

移植なので、手術の数日前に亡くなられたドナーから角膜を頂いています。

私が見る喜びを得られている背景には、2名の命が関わっているわけです。

見える事は嬉しい事で、聴ける事は楽しい事だから、たくさんの面白い物を見たいし聴きたい。

最近、見るアンテナも聴くアンテナも低くなりがちだったので、気持ちを切り替えねばならないと思い至った次第です。


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